人間の邪心な心を変えるより、プルトニウムの性質を変える方がやさしい。アインシュタイン
オロチ少年は両親の愛を一心に受けすくすくと育つが、5歳とき飛行機事故で両親が亡くなってしまう。
奇跡的に助かったオロチ少年は親戚に引き取られるも叔父叔母、従兄弟たちに虐げられる毎日。仕舞にははした金と交換にサーカスに売られてしまう。
しかしそれは彼にとって幸運なことだと言えるだろう。
サーカスという環境に彼は驚異的な運動能力を開花させた。それは努力もあるが彼には才能があった。
後の派手な化粧や奇抜な衣装はその頃の影響が強いのだろう。
そんな彼がサーカスでうまくいき始めた頃、叔父の家が一家諸とも全焼する火事があったことなど知る由もない。
その不審火は結局煙草の消し忘れという理由で片付けられた。この家には煙草を吸う者などいないのだが。
幼かったオロチ少年は青年になり少し屈折して成長した。
どう屈折したかというと部屋に迷い込んだネズミなどを掴まえてはいたぶり遊ぶような青年に。
今回時間がないため彼がどの様にいたぶるかは割愛する。
彼の外面は良く正気の沙汰とは思えないような行動に気付く者などいなかった。
それから暫くして彼は初めて殺人を犯す。道を訊ねてきた老人だった。
しかしそんな事など当の本人はもう忘れているだろう。
彼は新聞の一面を賑わす殺人鬼になった。
まだ息が絶えないうちに肉を裂き内臓を取り出すのが彼の流儀らしい。
今日は心臓を眺めていた。月明かりに照らされるまだ温かい心臓はとても美しくあの肉の塊が所持していたものとは思えなかった。
「やっと見つけた」
突然声が響いた。驚き振り向いたオロチが見たものはコートを着た女性。
彼女はそう言うとその場で倒れ込んでしまった。
そのまま置き去りにしても良かったがあの一言が気に掛かり自分のアパートに連れ帰ることにしたのだった。
目覚めた彼女はお腹が空いたと言うだけでベッドから出て来ない。
仕方なく目玉焼きとトーストを用意すると黙々と食べ始めた。
食べ終わると、あなたお店が開けるわと笑みを浮かべる。
ずいぶん後に彼女は意外と尽くしてくれる女だとわかるのだが、自分なんかに構ってなければ今頃所帯を持って幸せに暮らしていたんじゃないかとオロチはたまに思う。
彼女の名前はダッキ。とある研究所を逃げ出してきたという。
そして自分は世界に散らばるスペアの一つに過ぎないと告げられる。
その中でオリジナルを越える能力を持つ自分は近いうちに回収され、記憶を書き換えられるという。
ダッキにはこのオロチに特別な感情があるのだがまた別の時に話すとしよう。
オロチはその言葉をにわかに信じられなかったが一番重要なのはダッキがその後言った言葉だろう。
世界を一緒に壊してくれない?
あぁこの目は、俺と同族だ。
この物語はここで一旦一休みとしよう。これから始まる戦いのために
というのが序盤のお話で、今作完全復活したオロチは肉体の限界を越えたのか髪は白髪になってましたね。
スペアとしての生き方しかできない人々は精神共有システム内でオロチを集団リンチの末殺してしまう最期は涙なしでは語れませんね。
あれ?今日はエイプリルフールじゃないの?